INTERVIEW インタビュー

設定制作:小栗芳奈

【「菜なれ花なれ」本編について】

本作で好きなキャラクターとその理由を教えてください。

最初はビジュアルで圧倒的に柊が好きだったのですが、作品を通してキャラ性を理解していくうちに、好きなことに臆面なく、でも自分の大切な居場所に対しては繊細で、たまに照れてしまう、そんな杏那が好きです!

 

ご自身が「ここを見てほしい!」と感じるポイントはどこですか?それはなぜですか?

やはりキャラ3Dと作画の融合でしょうか。
ダンスシーン自体が弊社の作品ではそんなに多くないイメージなのですが、更にキャラを3Dで動かす、というのは弊社作品では今までにないチャレンジになるのかなと思います!
その上で決めるところは作画でキチンと決めているので、かなり見ごたえのあるダンスシーンになるのではないでしょうか…!

 

 

【設定制作のお仕事について】

「設定制作」はどんなお仕事ですか?

設定制作は、「本編を作るための土台作り」だと考えています。
シナリオ打ちから参加して、必要な設定や資料を精査して用意し、各話数が始まる前に作業に入れるように整えるお仕事がメインになります。
この土台がふにゃふにゃだと、実際に各話数が始まった時にいろんな問題が起こってしまうので、本編(作画)作業が始まる前が一番の踏ん張りどころです。
また、自分が直接ストーリーや絵作りに意見をすることはほぼないのですが、各メインの打ちあわせに基本全て参加させて頂いているため、「作品の一番の理解者」になれる立ち位置だと考えております。

 

設定制作のお仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

各スタッフへ「いかにわかりやすく伝わる資料を用意するか」というのが大切だと考えています。
設定にどんな注釈をつければミスが減るのか、各作業者が混乱しないためにどんな注意事項を作成すると作業ミスが減るのかを常に念頭に置いています。
また、話数が始まる時にはいつも、各シーンにどんな設定・参考資料を使うのか、時間帯の表記など、シーン毎に細かく表を作る「香盤表」というものを作成します。
こちらにミスがあると、そのまま画面のミスにつながるため、香盤表を作る時はかなり神経を使いながら作っています
「設定制作は突き詰めれば突き詰める程どこまでも丁寧にできる仕事だ」という教えを入社した時に教えて頂いたので、自分なりに作品を重ねる毎に突き詰め方を模索しています!

 

お仕事をしていて面白いと思う瞬間はどこですか?

シナリオ打ちから参加して、ストーリーの展開、実際には明言されていないキャラの心情を組み立てるところから立ち会っているので、監督とプロデューサーが「作品の親」とすると自分は「作品の乳母」ぐらいの気持ちで見守っています笑
なので、話数を重ねてキャラクターがどんな風に成長していくのか見守るのがとても楽しいです。シナリオだけじゃ読み取れない仕草や表情感が絵になっていく時に気づきが増えていくのも面白いところですね。

 

本作で一番お気に入りの設定はどれですか?

自分は温泉回の設定が好きです!美術の見ごたえがかなりあるので、いつもロケでお邪魔した時を思い出して「また行きたい!」と見るたびに思ってます。

キャラクター原案、キャラクターデザインの方とお話する中で印象的だったエピソードがあれば教えてください

キャラクター原案である髙田さんには、本編のサブキャラクターやメインキャラクターの色替え等もご担当頂いております。
なれなれでは、メインキャラであるポンポンズと鷹ノ咲チア部の先輩がメインで織り成されているのですが、実は他にもちらちらと出てくる鷹ノ咲チア部のAチームメンバーや、桜城女子学園のシスター等、実はたくさんのキャラクターたちが登場します。そのキャラ設定を作る際に、シナリオ時には特に登場しないバックグラウンドをちまっとメモで書いてくれています。
例えば1話で登場した、谷崎総合病院の作業療法士さんは
「非番の日は大衆酒場でひとり焼き鳥を食べる」らしいです

 

ロケハンに参加されたと伺いましたが、何か印象に残っているエピソードはありますか?

温泉地にシナリオロケハンに行った際のお話です。
その温泉は四つの露天風呂に分かれていて、かなり広い場所でした。
自分は温泉が大好きなので、「しあわせ~」なんて何も考えずに温泉に入っていたのですが、シナリオライターの後藤さんと綾奈さんは
「ここにあのキャラが立って向かいの温泉に大声で話しかけて…向こうのキャラが恥ずかしがってたらいいな~」や「ここで踊ったら滑ってころんじゃうか…うーん」と色々とストーリーを組み立てて想像していました。こうやってシナリオが生まれていくんだという瞬間に立ち会えて面白かったです

 

普段生活している中で、「職業病だなぁ」と思うところはありますか?

ロケに行った際はあらゆる写真を数千枚単位で取るのですが、普段旅行に行った時もかなりの写真を撮ってしまいます。
そして、学生時代は「映え」なんかを意識したりして、オシャレな角度で撮影しよう、と奮闘していたのですが、このお仕事を始めてから「何が資料になるかわからない」という精神で、写真を撮る時は360度、角度をつけず、対比を映す、この三つを無意識に意識するようになりました。もう映えな写真は撮れないと思います……

 

今後お仕事の中で挑戦してみたいことはありますか?

設定制作は作中の「文芸」を考えさせて頂く事が多いのですが、なれなれでもかなりの2D文芸を考えさせて頂く機会がありました。
自分が担当したのはYouTubeのコメントやノートの中身等色々あるのですが、特に気に入っているのが「各キャラクターのトーク画面」の会話です。
完全に各キャラになりきって文章を考えていました。(詩音はめっちゃ丁寧な長文そう…杏那はきっと他キャラの名前呼ぶ時はカタカナ表記だな…とか)
柿本監督にも「ぽい!」と何度か褒めて頂き嬉しかったです。
基本は本編に関わらない当たり障りのない内容が多いのですが、作品の根幹にも関わるような文芸を今後色々と挑戦していきたいなと考えています!