INTERVIEW インタビュー

音響監督:伊藤巧

【「菜なれ花なれ」本編について】

本作で好きなキャラクターとその理由を教えてください。

メイン所は皆さんあげるでしょうから…それ以外の大人のキャラ達ですかね。
本作ではなかなか目立たない部分ではありますが、それぞれ個性的に演じて頂けたと思います。
キャラクターボイスに要注目です!

 

ご自身が「ここを見てほしい!」と感じるポイントはどこですか?それはなぜですか?

ではメイン所の可愛いところを…
かなたの元気さ!恵深の結髪!涼葉の○○顔!杏奈の挨拶!詩音の編み込み!穏花の制服!
癖が出てますかね(汗

 

 

【「音響監督」の仕事内容について】

「音響監督」はどんなお仕事ですか?

文字通り音響全般を監督する立場にありますがその中でも
・劇伴(BGM)メニューの作成・発注 ・アフレコの進行 ・選曲
等が大きく携わる部分になります。
アフレコの演出については基本的には監督のご意向に沿って進めますので、お仕事のうち一番クリエイティブな部分は【選曲】になるかと思います。
本編内のどこからどこまで、どんなBGMを付けるのか、難しくもあり楽しい、やりがいのあるお仕事です。

 

お仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

私は特別な演技指導が出来るわけではありませんし、素晴らしい選曲ができるわけでもありません。
それでもいつも精一杯全力で作品に向き合うよう心がけています。
若い頃に先輩から「アニメは監督のモノだよ」と教わりました。
音響監督として作品に携わらせて頂くようになって、この言葉がいつも頭にあります。
監督の望むものへと仕上がるように、そしてどこか一つでも監督の想いを超えるものを提案できたら良いなと取り組んでいます。

 

お仕事をしていて面白いと思う瞬間はどこですか?

やはり【選曲】だと思います。選曲しミキサーさんに編集をして頂いて、ダビング作業で効果さんのSEと収録した台詞と合わせます。
気持ち良くはまった時は快感ですね。
この時初めて監督にご判断頂くので、不安でドキドキしながら反応を待ちます(笑)
もちろん修正をお願いされる事もあります。そこで瞬時にご意向を理解して次の手を打つ。
音楽の使い方で見え方感じ方が大きく変わります。そこを任されているわけですからね!

※ダビングとは、各話数ごとにアフレコ音声と劇伴(BGM)、効果音などを合わせて音声データを完成させる作業のことです

 

本作はオリジナルテレビアニメですが、原作がある作品との違いはありますか?

メタい発言になりますが原作有りだと船頭が増えます(笑)
そして、ユーザーのイメージが先に有るか無いかも大きいですよね。
既に作品を知っている方の想いに答えられるかも大きな要素になってきますので、
そういった意味でオリジナルのこの本作では監督の描きたいものが存分に活かされているのではないでしょうか。

 

劇伴の発注時に意識されたことはありますか?

監督から「音楽のジャンルは色々あって良いと思います」とご意見頂いておりました。
私も、女の子たちの賑やかさと、ストーリーのシリアスな部分、転じたコミカルと様々な色のある作品だと感じましたので、POP、K-POP調、クラップ有り、デジロック+クラシカル等、色々提案させて頂きました。
劇伴制作チームの方々にはとても素敵な曲を作って頂いて、「劇伴良いですよねぇ」と監督とお話しした事を覚えています。

 

アフレコ時にキャストとのやり取りの中で印象的だったこと(印象的だった演技など)はありますか?

やっぱり杏那役の武田さんでしょうね。
ポルトガル語は彼女任せでしたから大変だったと思います。
録った台詞をプレイバックして確認したり、前の週の録り直しを自ら志願してきたり、この作品に於いて声以外でも多大な活躍をされております。

あ、あとこれは言って良いのかな?
かなた役の中川さんはオーディション時、自前のチアユニフォームで挑まれました!
スタッフ皆、あれで心持っていかれましたよね(笑)

 

ダビング時に音楽を付けるにあたって意識したこと、こだわったことはありますか?

画の邪魔をしない事ですね。あえて音楽で説明しない事で、素敵な劇伴をより良く効果的に使う。
これまで私が携わった作品の中では一番音楽が少ないと思います。
画と役者さんのお芝居とSEで、その時のキャラクターの機微、時間や場所、匂いさえも感じられるような、じっくり見せる部分を作られたと思います。
見る人の捉え方に委ねるシーンを感じてもらえたらと思います。

 

監督などスタッフとの会話の中で印象的だったエピソードがあれば教えてください。

柿本監督はご自身の創りたいものがいつもハッキリとしておられる素晴らしい監督です。
何か質問をしてもしっかりとした答えをくれる。
何か提案をすればNOなのかGOなのか理由をもって意見して下さいます。
私は安心して自分の仕事ができました。
11話で、一部編集にまで口を出させて頂いた箇所があるのですが、編集点のキュー出しで監督とユニゾンした時が気持ち良かった~(笑)

 

普段生活している中で、「職業病だなぁ」と思うところはありますか?

自宅のテレビの音(特に声)が聞こえづらい事です。
エアコンの音、窓の外の環境音、別の部屋の生活音。
テレビを集中して見ようとすればするほど、その時鳴っている全ての音が聞こえてしまいます。
生活にある音とテレビの音とでMIXバランスを取ろうとしてしまうのか、テレビの音が聞こえづらくなってしまいます。

 

今後お仕事の中で挑戦してみたいことはありますか?

え?【劇場版 菜なれ花なれ】以外にあるんですか?(笑)
あのキャラのその後とか、あの場所のその後とか色々ありますよね?
お待ちしております!